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CTC (Circulating Tumor Cells) について



CTCを介したがん転移

CTCを介したがん転移

CTCとは

新しいバイオマーカー"CTC"

 最近、末梢血中のがん細胞の数を測定するCTC検査が注目されています。CTCとは「Circulating Tumor Cells」、日本語では「血中循環腫瘍細胞」または「末梢血循環腫瘍細胞」と言い、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から遊離し、血中へ浸潤した細胞と定義されています。このCTCは固形がん患者の末梢血中に微小量存在しており、他部位への転移能を有している細胞を含んでいると考えられています。

 

CTCの歴史

 がんの死因の約90%は原発巣から他臓器への転移に起因しています。腫瘍細胞塊から血管内へ浸潤するがん細胞の大半は自己免疫系により死滅しています。しかし、その内ごく少数が免疫系の攻撃をすり抜け、CTCとして血液内を循環し、転移巣を形成すると考えられています。

 CTCの研究は歴史的には古く、その存在は1869年にオーストリアの医師Thomas Ashworthによりはじめて記述されており、その20年後にはイギリス人外科医Stephan Pagetにより「種と土壌の仮説(”seed and soil" theory)」が提唱されました。転移は特定のがん細胞(種)と、種の適合する他の組織(土壌)の応答によって生じる、というこの内容は2003年に立証され、種である血液中のCTCの解析ががんの病態予測において非常に重要な分野として認識されてきました。CTCの臨床研究は2004年に報告され、予後因子としてのCTCの重要性が示されました。

(参照)Paget, S. 1889. The distribution of secondary growths in cancer of the breast. The Lancet. 1:571-573.

 

 

CTCの臨床的意義について

従来の癌検査

 癌検査のうち、転移性癌の病態経過の予測は非常に困難であると考えられています。そのため、癌の病態についての正確な情報を得ることは治療を行う上で有益となります。

  従来癌の病態の経過は、診察と画像診断による腫瘍の大きさの評価か、血清腫瘍マーカーと呼ばれる血清中に存在する特定の蛋白質濃度を補助的に測定することで診断されています。しかし、CT検査による画像診断では腫瘍のサイズを測定することは可能ですが、その腫瘍が活発に増殖しているのか、もしくは休眠状態にあるのかを知ることは出来ません。腫瘍の大きさの変化を捉えているために、一般的には検査は数ヶ月間隔で実施されています。そのため、CT検査では治療が充分な効果をあげているのか、または明らかに効果が認められないのかをタイムリーに判断することが難しいのが現状です。一方で、血清腫瘍マーカーは腫瘍の大きさとの関連は乏しく、炎症等により癌の病態とは無関係に上昇することがあります。また、血清腫瘍マーカーは治療や癌の病態の変化との相関も低さが懸念されており、抗癌剤による治療開始後4週から8週の時点で血清中の濃度が上昇する「スパイク現象」が認められることで、更に診断を困難なものにしています。 

 効果的な癌治療を行うためには、医師が治療中にいつでも正確な病態を把握出来る情報を得ることが重要であると言われて来ました。そのため、末梢血を用いたCTC検査は非侵襲的に癌の病態予測を行うことが出来る有効なツールとして認識されつつあります。

 

CTCの臨床的意義

  治療前の癌患者の末梢血中にCTCが検出される症例は、思わしくない病状の経過と相関することが報告されています。また、治療によって血液中のCTCが消失しない症例も、思わしくない病状の経過と相関することが報告されています。更に、化学療法の著効例では、治療開始後1サイクル時においてCTCが著しく減少することが報告されています。

 CTC測定の臨床的意義をまとめると、以下の有用性が期待されています。

  • 治療前における血液中のCTC数により、積極的な治療の必要性の有無を判断することが出来る。

  • 化学療法開始後1サイクルの時点における血液中のCTC数により、期待された治療効果を判定することが出来る。

  CTCの臨床的な有用性は、従来の診断法に比べてはるかに早く、簡便な方法で、癌化学療法の治療効果の評価が出来ることです。血液中のCTC数のモニタリ ングにより、期待した治療効果が得られない薬剤を他の薬剤に変更する他、ターミナルケアを選択肢に加えることが可能となります。また、血液中のCTCのモニタリングとCT検査等の画像診断法との併用で、より正確な病態把握の情報が得られることが期待されます。

 

CTCのキャラクタリゼーション

 さらに、最近ではCTCの数だけではなく、CTCに発現しているバイオマーカーや、遺伝子の変異、増幅、融合などを調べることにより、CTCのキャラクタリゼーションも研究としては可能になっています。今後、CTCのサブグループを同定・把握することにより、患者ごとに最適な治療を選択することが可能になるかもしれません。


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